2007/09/21

間違ってる

16歳の少女が、
自分の父親を斧で殺害した事件の影響で、
深夜にやっていたアニメが、
たて続けに放送中止になっている。
 
「またか」
 
と思った。
そのまま、「またか」で済ませようかと思ったけど、
やっぱりちょっと違和感が残るので、
この事について書いておこうと思います。
僕は絵を描く人なので、
本当に言いたい事があるのなら、
それは絵の形で表現するのが本来正しいと思うけれど
(絵で表現できないのなら、
それは自分の能力が低いということだ)、
これは少し論理的に話を進める必要があるので、
そこの部分は許してください。
 
そもそも、僕は放送中止になったアニメ
(正確には「ひぐらしのなく頃に」と「School Days」)
を観ていないので、
話の内容については、
事件を想起させるシーンがあるという程度にしか
知りません。
なので、ここではアニメの内容自体には言及しません。
というか、できません。
僕が問題だと思うのは、
事件が起こった後で、
テレビ局が放送中止を決定したという事実についてです。
僕は、そこに矛盾があると思います。
 
もしですよ、
もし仮にこの事件が起きていなかったとするならば、
その放送中止になった番組は、
そのまま放送されていた訳ですよね。
普通に。
なんの問題なく。
それはつまり、
テレビ局はその内容を事前に、
放送してもよいと判断していたということになります。
でも、事件が起こった。
それで、放送中止を決定した。
放送中止にしたということは、
その内容に問題があるとテレビ局が判断したからですよ。
 
これはおかしくないですか。
二重に間違っている。
 
事件が起きたあとの観点からしてみれば、
テレビ局が番組を放送中止にしたということは、
事件が起こる前の自らの判断が
間違っていたと自ら証明することになります。
もし、事件が起きていなかった場合、
テレビ局は内容的に問題があったかもしれない番組を、
なんら問題意識なしに放送していた事になります。
これは危険です。
 
また、事件が起こる前の観点からしてみれば、
テレビ局には、
本来放送すべきだった番組を放送しなかったという
責任が問われます。
テレビの番組なんだから、
そりゃ多くの視聴者がいるだろうし、
製作者だっているんです。
それを、放送中止という形で切ってしまうのは、
その人らに対する裏切りと言われても仕方がない。
 それに、放送中止にすることによって、
その作品自体に、
問題作というレッテルを貼ってしまうことになる。
それもフェアとはいえない。
別に、肩を持つつもりじゃないですが。
  
先にも書きましたが、
僕は中止になった番組の内容をよく知らないので、
言及できないのですが、
放送される(はずだった)作品の
内容自体に問題があったかどうかについては、
検討する余地があると思います。
それまで、放送された内容、
また、それ以外の作品の内容も含めて。
ただ、それは事件が起こったからどうというのではなく、
放送される前の段階で行うべきでしょう。
そもそも、テレビ局は事前に十分、
比較検討していたのでしょうか。
おそらくは、よく考えずに、
スルーされてたんじゃなかろうか。
 
また、事件を起こした少女が、
実際問題として、
作品から影響を受けていたのかどうかについても、
同様に検討すべきだと思います
(どちらにしろ、
やってしまった事自体は許される事ではないですが)。
ただし、実地レベルで。
よく知らない、周りの人間が野次馬的に、
影響を受けている、受けていないの応酬、
また、そこから発生する作品たたき、メディアたたき
などはするべきじゃない。
と思う。
するのなら、
今まで自分が観たり、読んだりしていた作品とは、
いったい何だったのかについて、
考えたり、議論すべきじゃないでしょうか。
 
まあ、だいたいこんなとこですが
(本当は言い足りない感がありますが)、
なにより僕は、
事件が起きたから放送を中止するという、
その姿勢が情けなく感じました。
そんなみっともない事してくれるなと。
それは僕にとっては、
「フィクションは現実に隷属する」
と言われてるように感じたのです。

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